型から入るは続かないon離島キャンプ記
タッパーである
何の変哲もないただのタッパーだが、私にとっては功績あるタッパーである
私はこの1年半以上、このタッパーをお弁当箱にしていた
とはいえ、中に何を詰めるかはその人次第であり、人によってそのグレードは様々であろう
初期の私は炊いた白米を突っこんでいた
問題はサラダや付け合わせだが、それらは出先近くのコンビニで買っていた
単純に外食よりお金をかけないための食べ方だと思っていたが、このコロナで感染しない/させないための食べ方になった
今の私は副菜もレンチンして添えるようになった
このタッパーは私に弁当持参の習慣を与えたのだ
キャンプ
ところでこのような生活感漂う冒頭には理由がある
キャンプの話をしたかったのだ
本来、私は島と太陽と月のことを書くためにこのブログを立てたのだが、コロナは私から島を切り離した
離島でコロナを広めるようなことは絶対にあってはならない
仁右衛門島(2021/03/16)を最後に、私は海を一度も越えていない
そんな私の離島キャンプを回想したい
神津島
私はこの島で重要な知見を得た
民宿の空気が好きになれないのだ
他人の家で寝泊まりする感覚が好きになれず、自分ひとりの空間があることの重要性を知った
島そのものは良かったが、この時の私のなかでは数ある観光地の一つだった
薩摩硫黄島
この時は寝袋だけではなかった
大きなゴミ袋も持参していた
45リットルのごみ袋で下半身と上半身を覆う作戦に出た
これを寝袋の上にかぶせれば、例え雨が降ろうとも何するものぞの心境であった
幸いにして雨は降らなかったが、ごみ袋の内側が朝露でまみれていた
しかも自分の吐く息がごみ袋にあたるので、結露した水が顔に当たっていたのだ
これは鹿児島市内で買ったお菓子だが、これを頭の下に敷いていたのも良くなかった
ふと深夜に起きると、蟻の大軍に攻め込まれていたことに気づいた
三宅島
この時の私はバージョンアップしていた
ついにテントとシェラフ、エアマットを装備したのだ
その効果はきわめて絶大であった
雨や虫の浸透戦術をいともたやすく防御する、まさしく安眠バリケードであった
三宅島は奇観の連続であり、地殻の気まぐれをかき集めたような島であった
八丈島
おそらくこの時からだろうが、コッヘルとガスバーナーも常備するようになった
この時は体中にホッカイロを貼り付けて寝た
南方の島とはいえ冬キャンプであり、海岸からの潮風が身に染みた
八丈島にはホテルも沢山あるので、素直に泊まることをお奨めしたい
青ヶ島
中継地である八丈島に前2泊/後2泊した
青ヶ島のキャンプは残念ながら諦めた
キャンプ場と水場(村役場)の距離が遠すぎ、徒歩ではどうにもならなかった
この島だけは空きの民宿に泊まることになった
青ヶ島はこの世の島ではなかった
この時ほど青天が神々しく感じられたことはない
利尻島
利尻島で必要だったのは、キャンプ道具ではなく登山道具かもしれない
ここでは大きな問題があった
北海道のキャンプ場(と周辺施設)のレベルが高すぎることだ
銭湯・乾燥機付き洗濯機・充電・充実した調理場・綺麗なトイレ
おまけに現地で買える食材のレベルも高いので、わざわざ持参する意味を感じなかった
これまでの離島のキャンプ観が揺らいでしまった
礼文島
利尻島からそのまま移動した
問題はそのままである
あいかわらずキャンプ場のレベルが高い
借りた自転車で温泉まで行き、「キャンプといえば銭湯」くらいの倒錯に陥った
原付で島を回っていたが、道そのものが楽しい島であった
新島
東京(伊豆七島)に戻る
とにかく風が強かった
テントの中にそこそこ重量のある荷物を入れ、しばらく島を回っていた
キャンプ場に戻るとテントの姿はなく、近場をゴロゴロと転がっていた
ペグの打ち付けが甘かった云々よりも、下から風が吹きあがる立地が敗因だった
冬の新島には宇治群島以来のむき出しの自然が感じられた
風も波も荒々しく冷酷だったが、不思議と理不尽な思いはなく、ただただ畏敬の念を抱いた
その他
諸事情より旅館に泊まった島は除外した
総評
ここまで書けば伝わるはずだが、私はキャンプ道具そのものに興味はない
キャンプ中の写真が一切ない(撮っていない)のも、そもそもキャンプ自体を特別なものと感じていないからだ
必要と思える最低限があれば、それ以上にキャンプ道具を試す気もない
もしこんな自分がキャンプ道具一式をそろえ、キャンプを目的にすれば挫折しただろう
この記事のタイトルはつまりそういうことなのだ
私がタッパーから始めた弁当も、初めからおかずマシマシの弁当箱なら続かなかった
これはとりたてて一般法則として話しているつもりはなく、あくまで私の個人的体験として書きたかった
なお、冒頭のタッパーは破損により引退し、新しい弁当箱を購入した
仕切りが付いているのは素晴らしいが、洗いが面倒な形状で悩ましい
良い習慣になって欲しいと願っている