オールドレンズ分解編[Jupiter-9 85mm F2 後期型MCなし]
序
最近、某オークションサイトでレンズを購入したが、レンズの絞り羽調整駆動ダイヤルが非常に固かった。
それだけでなく、何回か絞るとレンズ内部で絞り羽根が外れていくのを確認した。
やむを得ず、人生は分解編に突入した。
2023/10/25 タイトルのレンズ型名に誤りがあったため修正。また一部写真を差し替えた。
工程
購入時点ではこのような状態だった。
周囲のネジを外し、外装(ダイヤルブリップ)を取り外すとこのようになる。
このレンズは絞りを二つのダイヤルで決める。詳細は以下ページが参考になる。
jupiter-9 85mm F2 修理記録 – レンズ修理なら日本レンズ協会japanlensassociation.com
絞り羽調整指標ダイヤルで絞り上限を決め、絞り羽調整駆動ダイヤルで実際に絞る。
今回は絞り羽調整駆動ダイヤルが固いので、ここを何とかしたい。
前玉ユニットは外装取り外し後、ネジを外せば取り外せる。
(前玉後玉はカニ目レンチなしでも取り外せる構造だが、前玉を最後にしっかり締める時には必要になった)
前玉を外すと確かに絞り羽根の脱落を確認できる。さらに上部の抑えを外すと、絞り羽根の配置を確認できた。
さらに絞り羽根駆動ダイヤルまで取り外し、ようやく絞り羽根に関わる全ての分解が終わった。
状態は非常に悪かった。
絞り羽根には1枚ごとに2つの金具がついており、そのうちの1つが外れて完全にすり潰されていた。
金具はただの金粉としてダイヤル溝に満遍なくこびりついていた。
他に計3つの金具が外れており、3枚の絞り羽根が使い物にならないことが分かった。
そんな訳で水滴型の絞り形状となった。
玉ボケの形状までは見ていないが、絞りで暗くなり、ダイヤルもスムーズに動くようになった。
今後
ジャンク品を買って絞り羽根とネジを補填したい。
ネジもいくつか腐りきっており、再使用ができない状態だった。
振り返り
なぜ絞りが固かったのか。
前玉側に絞り羽根のグリスが流れ切っていたことが原因ではないかと考える。
絞り羽根同士が固着して摩擦が強くなり、絞るたびに余計なテンションがかかって金具まで脱落した可能性がある。
最後に
こちらがなければネジを半分も外せなかった。
40年以上も前に締められたネジを外すには不可欠のように思えた。